・・・・・・・・・・日蓮聖人語録・・・・・・・・・・


【7月】     解説 村上東俊 学林助教授・多摩 立正院住職

蔵の財よりも身の財すぐれたり 身の財より心の財第一なり 崇峻天皇御書(昭定一三九五)

 大聖人のお言葉は今日まで時代を超えて脈々と受け継がれてまいりました。この一節も現在の私たちの心に力強く響く自省を促すお言葉です。
 これは大聖人の最も有力な信者の一人である四条金吾に宛てた御書です。北条一門の江馬氏に仕える四条氏は、主人から篤く信頼されていました。しかし、大聖人は四条氏が自惚れから得意になって奢らぬよう、気の短い性格を諌め、油断をしてはならないと諭されたのです。大聖人を親のごとく慕い、竜口法難では殉教をも覚悟した四条氏に対する深い慈愛の念から発せられた一節なのです。
 私たちは受け難き人身を受けてこの世に生まれました。そして、この世で実際に生活を営むことは生命を受けるのと同様に難しいことなのです。私たちの日常生活は身の回りにモノが溢れ、利便性を追求するあまり、我慢をしないで過ごすことに慣れてしまっています。しかし、仏教では「耐え忍ぶ」ことを「忍辱」といって、大切な修行の一つに数えて、そこに大きな価値を認めているのです。
 大聖人は『法華経』に説かれる常不経菩薩のように、全ての人は仏になることができる存在であると考え、どのような人に対しても奢らず、敬いの気持ちをもって接しなければならないと仰せなのです。私たちは日々多くの人と接し、出会います。その中で私たちの心が常に試されているのであり、心を磨き輝かせることが真の財産をつくることになるのです。