・・・・・・・・・・日蓮聖人語録・・・・・・・・・・

解説 山本充彦

 このお手紙は弘安2年(1279)54日の日付で身延のお山からくぼの尼御前に出されております。くぼの尼御前とは、駿河国(静岡県)富士郡久保村に住していた持妙尼という信者のことであり、久保村に住していたので「くぼの尼」といわれるのでありますが、詳細は不明で夫の没した後に亡夫の命日や折りに付けて身延の大聖人のもとに供養の品を届けていた女人であります。

 このお手紙は今では真蹟がありませんが、富士の日興聖人の写しがあります。

 このお手紙の最初には五月の農繁期や、宮の造営やらで忙しい時に身延の山中のことを思い、ご供養の品々を送っていただいたお礼が書かれ、その後に阿育王の例をあげ、過去の世に五歳の子であった王が、釈尊に砂の餅を捧げた善根によって大果報を得たという教えを説き、今の法華経の行者大聖人に対する供養は故入道殿(尼の夫)が必ず仏になるもとであると書かれており、また、尼の娘が幼い子であるにもかかわらず、母に孝養をするのであるから必ず成長して父親の菩提を弔われるであろうと書かれ、あらゆる善い行ないの中でも父親や母親に対する孝養供養が最も大切であると書かれております。

 私たちもまず身内の父母の孝養を第一と考えるようにお諭しになっておられるお手紙であります。