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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

お酒を供えることについて教えて下さい。

椿澤日壽


 酒の歴史は古く、古代から人々は材料や製法は違っても、酒を造って飲んでいたと考えられています。古代遺跡の各々で、酒の製造道具や、酒を入れた革袋や石器・土器が出土しています。

 王さまや貴族はもちろん民衆も酒を造り飲んできました。近世になって酒造りを専門におこなう酒造業もでき、酒造りを規制したり、税金をかけたりするようになりました。

 仏教教団では早くから、5つの戒律の第5番目に「不飲酒戒」を設けて、酒を飲むことを禁止しました。これは酒を飲むことによって起きる自分を律する心の乱れや、他人に迷惑をかける暴力などを防ぎ、修行に専念することを求めたためです。集団で修行する時には特に大切な戒律であったと思われます。

 けれども薬として飲むことは認めました。「薬酒」とか「般若湯」という名が付けられているのも面白いですね。

 神さまは酒を喜ばれたので神へ供える酒を「お神酒」といいます。古事記や日本書紀の中にも神々の酒盛りの様子が記されています。

 日蓮大聖人門下では、法華経守護の諸天善神をまつるためにお酒を仏前にお供えします。また、日蓮大聖人のお在世中に聖人にお酒を供養した人が何人もあり、大聖人からの礼状が11通も残っています。お手紙によりますと「薬酒」として身体を温められたようすがよくわかりますし、仏前へ供えられたとも記されています。

 「雪が重なり寒さにせめられています。身体が石のように冷えます。この酒は温かく、一度に飲むと火を体内で燃やしたように感じられます。湯に入った気分になります。」(上野殿母尼御前御返事・昭定1897)

 日蓮大聖人のお会式(御命講)にお酒を供える理由がわかります。      

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