日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
一切経は闇夜の星のごとし 法華経は闇夜の月のごとし
解説:学林教授・中原 本門寺住職 光林 孝玄
凡そものごとには、始終・本末の順序があります。
釈尊がお説きになられた数々の経典は、法華経を説くための、対機説法による準備の教えであることが知られています。
末法という時代の深き闇を払う一縷の光明が、『法華経』であり、更に本質を提示すれば「本門寿量品の肝心南無妙法蓮華経」なのです。
御聖句の引用される本抄では、法華経が諸経の中の大王なることを、法華経薬王菩薩本事品の「十喩の校量」をもって説明されます。
一切の河川が一つの大海に注がれるように、また一切の山々の中で須弥山が法界の中央に高く聳えるように、夜空に浮かぶ衆星の中でも闇夜を拭う月のように……。
大海、須弥山・月・日輪等に譬えられるのが、一切経の中心、『法華経』であり、この仏典の秩序が顕された暁に、諸経も『法華経』に統べられ、真の力が発揮されることになるのです(開顕統一)。
法華経は闇夜の月のごとし。
法華経を信ずれども深く信ぜざる者は半月の闇夜を照らすが如し。
深く信ずる者は満月の闇夜を照らすが如し。
お題目の祈りを心にしっかりといただいて日々をいただいてまいりましょう。
暮らしの中に潜む心の闇を、閉塞する時代の深い闇を必ず破る光明が射し込んでまいります。