日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
法華経一部の肝心は南無妙法蓮華経の題目にて候
解説:田中豊隆
このおことばは、弘安元年(一二七八)七月三日、妙法尼から「南無妙法蓮華経と唄うる計りにて仏になるべしや」と唱題成仏について尋ねられたのに対するお返事の中の一節であります。
すべてのことにはその中心、肝要というものがあり、法華経一部(法華経二十八品)の中心、肝要は、南無妙法蓮華経の題目だということであります。
大聖人さまは、この題目の五字を「文にあらず、義にあらず、一経の心なり。」「妙法蓮華経の五字は経文にあらず、唯一部の意のみ。」と説いて、ただ教典の名ではないといい、また、「本門寿量品の肝心南無妙法蓮華経」と説いて、法華経の中心は寿量品、寿量品の要は妙法五字ともいわれました。この題目は、法華経の心であり、魂であります。本仏釈尊の智慧と慈悲の結晶が題目であり、末法の人々を救う唯一の法であります。
「釈迦牟尼仏の修行と功徳の二法は妙法蓮華経の五字の中に悉くそなわっているのであるから、私たちが、この妙法蓮華経の五字を信じてゆくならば、自然に仏の修行の功徳をゆずり与えられるのである」と大聖人さまが仰せられたのは、題目には、一切の功徳がおさめられているので、私たちが真心こめて唱えれば、人間の最も願うべき境地である仏になることができるということであります。