日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
南無妙法蓮華経とばかり 唱へて仏になるべきこと 尤も大切なり
出展:日女御前御返事
解説:法華宗々学林教授・監事 鈴木正厳
日女御前は、宗祖日蓮大聖人の熱心な女性信徒であります。この一文は、身延に居られた宗祖の許に、日女御前が御本尊の為にと、金子と供物を供養された事に対して、宗祖がお書きなりました、御礼状の一節であります。その中に、
かゝる御本尊供養し奉り給う女人。現在には幸をまねき、後生には、此の御本尊、左右前後に、立ちそいて、闇に燈の如く、険難の処に強力を得たるが如く。・・・・日女御前をかこみまほり給うべきなり。
と仰せられ、御本尊を供養し奉る法華経の信者の女性の功徳は、現世には幸福を招き、死後の来世には、本尊が左右に立ち添って、暗夜に燈を得た如く、険難の処で強力者を得た如く、日女御前を囲み、守護し給うであろうと、説き示されております。更に、
御本尊も只信心の二字にをさまれり、以信得入とは是れなり、
と仰せられております。御本尊を自分の心より遠く離れた処に求めてはなりません。御本尊の本体は、ただ、信心の二字に収まるのであり、御本尊を体得することは、いくら多くの知識を積み重ねたとしても、得ることは出来ないのです。ただただ、信心の一行によってのみ得られるのです。純一に、法華経を信仰し、南無妙法蓮華経と唱えます信心行によって、仏となり、御本尊の宝塔の中に入り、本仏釈尊の慈悲の懐にいだかれるのであります。
この一文は、私達に、御本尊に対し、真摯な帰依と信心の勉励不怠を示したものとして、拝すべきであります。